はねバド! ― 羽咲綾乃というバドミントン・モンスター
2017年2月1日 アニメ・マンガ
前回の日記の終わりに「また近いうちに書きたいと思います。」なんて書いたけど、2か月は"近いうち"でいいのだろうか?まあいいか。
書きたい事は2か月の間にも増えていきましたが、まずは思いつきで読んだ漫画の感想をサラッと書いてみます。あ、普段はあまりネタバレしないようにするんですが今回は少しあります。注意。
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■はねバド!
以前は少年ジャンプで『パジャマな彼女』などを描いていた濱田浩輔先生が現在good!アフタヌーンで連載している漫画である。
濱田先生はデビュー直後から「女の子は可愛いが話は…」という新人にありがちな評価をされており、ジャンプにいる間その評価は変わらなかった(と思う)。
『はねバド!』は現在9巻まで出ており、アフタヌーン系アニメの合間のCMでも紹介されるなどプッシュされているので気になり読んでみた、その感想。
・やはり絵柄は可愛い、が……
読み始めは、女の子xバドミントンが題材の、まあ最近よくあるタイプの漫画だなと感じた。
特筆すべきはやはり女の子の可愛さ。そこは相変わらずどころか、より磨きがかかっている。
しかしながらスポーツ漫画としてはありきたりな展開が続き、"可愛い女の子がバドミントンをしている"以上の印象はなかった。
もしかしたらそれは作者も感じていて、変えたかったのかもしれない。
・4巻頃から大きく変化する作風
連載初期はちょっとムフフなサービスシーン(こういう言い回しって使いたくなるよね)もあったり、前述通り"可愛い女の子がバドミントンを~"の"可愛い女の子"部分に重きを置かれていたように思う。
ところが4巻頃から綺麗に引いていた線が突然荒々しくなり、女の子の表情も険しいものが増えていく。"可愛い女の子"目当てで見ていた読者が「絵が変わって女の子が可愛くなくなりました!☆1です!」みたいなamazonレビューをつけてしまう、迫力重視の本格的スポーツ漫画にシフトしていく。
・"ラスボス"化する主人公
ただ物語に関しては絵柄が変わるよりも早く、都大会が始まった3巻頃からその兆しは見えていた。
この漫画の主人公・羽咲綾乃はバドミントンの才能に恵まれた選手であるがそれ以外は何もない、人格破綻者に近い。
スポーツ漫画で「才能はあるが、性格に問題がある」という主人公は珍しくないが、この主人公は顕著で、バドミントン以外は何もできないだけではなく、バドミントンに関しては他の選手を見下していたりする。
どうして才能だけのモンスターになってしまったか?は少しづつ描かれていくのだが――
ともかく、その才能は圧倒的であり、試合は常に綾乃の相手側が挑戦者である。大会中に突如挿入されるトッププロとの非公式試合でも勝ってしまう。ここまで強く描いてしまうと他の高校生選手に負けようがなく大会が盛り上がらないのでは?そんな不安も抱いたが、物語は更に意外な方向に進み始める。
綾乃のその脅威的な才能と性格の破綻ぷりを見せつけられ、また同時進行で真っ直ぐコーチとの絆を育むチームメイト・荒垣なぎさの成長が描かれた結果、都大会途中からなぎさに視点が移り、2人が戦う個人戦決勝は綾乃vsなぎさではなく、なぎさvs綾乃として描かれる。
実質的な主人公交代である。
『咲』など圧倒的に強い主人公に対し言われる"ラスボス"という冗談がこの漫画では実現する(とは言っても個人戦決勝で一区切りつき、以降はまた綾乃の物語が描かれる)
・試行錯誤を隠さない作者
この漫画の変化の象徴としてよく挙げられているのが、1巻と5巻の表紙(右上の画像)で、これは両方とも主人公・綾乃である。このように絵柄や作風の変化があり、良くも悪くも反響があったのはネットのレビュー等でも見て取れ、それらに対し作者も巻中のオマケ漫画で「迫力を求めて絵柄を変えた」「非公式試合が突然はさまれたのは先にやっておきたかったから」「5巻からは視点が変わる」など説明をしている。
誰もが感じてしまうほど、漫画外で説明しなければいけないほどの唐突な変化や強引な展開に戸惑いもある。だが羽咲綾乃の危うさに関しては初期から描写されていたし、物語の核自体は初期から見据えていたものなのだろう。そして作者も「全力で描けた」と言っているなぎさvs綾乃では、そこまでの試行錯誤が結実した感がある。可愛く描かれていた綾乃の顔が暗く歪むのは作風の変化があってこそだったし、2人の激しいぶつかり合いはスポーツ漫画以上のモノとして描ききれていたと思う。
・読者が求めていたものは
ギャグ漫画がバトル漫画になったり、長い連載の中でジャンルそのものが変わってしまう事も珍しくはない。ただ、濱田先生は可愛い女の子を描ける力があり、それを期待していて読んでた人も決して少なくはないと思うし、個人的にも初期の可愛い女の子路線が惜しくもある。
でも今の『はねバド!』にはそれ以上に魅力を感じている。「今一番熱いスポーツ漫画」と推す人もいるほどだ。
ジャンプを飛び出した濱田先生の挑戦は成功だったかを知りたくて読んだが、解ったのはまだ挑戦し続けているという事だけ。だから、これからも読み続けていきたいと思う。
皆様も、いかがだろうか。
書きたい事は2か月の間にも増えていきましたが、まずは思いつきで読んだ漫画の感想をサラッと書いてみます。あ、普段はあまりネタバレしないようにするんですが今回は少しあります。注意。
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■はねバド!
以前は少年ジャンプで『パジャマな彼女』などを描いていた濱田浩輔先生が現在good!アフタヌーンで連載している漫画である。
濱田先生はデビュー直後から「女の子は可愛いが話は…」という新人にありがちな評価をされており、ジャンプにいる間その評価は変わらなかった(と思う)。
『はねバド!』は現在9巻まで出ており、アフタヌーン系アニメの合間のCMでも紹介されるなどプッシュされているので気になり読んでみた、その感想。
・やはり絵柄は可愛い、が……
読み始めは、女の子xバドミントンが題材の、まあ最近よくあるタイプの漫画だなと感じた。
特筆すべきはやはり女の子の可愛さ。そこは相変わらずどころか、より磨きがかかっている。
しかしながらスポーツ漫画としてはありきたりな展開が続き、"可愛い女の子がバドミントンをしている"以上の印象はなかった。
もしかしたらそれは作者も感じていて、変えたかったのかもしれない。
・4巻頃から大きく変化する作風
連載初期はちょっとムフフなサービスシーン(こういう言い回しって使いたくなるよね)もあったり、前述通り"可愛い女の子がバドミントンを~"の"可愛い女の子"部分に重きを置かれていたように思う。
ところが4巻頃から綺麗に引いていた線が突然荒々しくなり、女の子の表情も険しいものが増えていく。"可愛い女の子"目当てで見ていた読者が「絵が変わって女の子が可愛くなくなりました!☆1です!」みたいなamazonレビューをつけてしまう、迫力重視の本格的スポーツ漫画にシフトしていく。
・"ラスボス"化する主人公
ただ物語に関しては絵柄が変わるよりも早く、都大会が始まった3巻頃からその兆しは見えていた。
この漫画の主人公・羽咲綾乃はバドミントンの才能に恵まれた選手であるがそれ以外は何もない、人格破綻者に近い。
スポーツ漫画で「才能はあるが、性格に問題がある」という主人公は珍しくないが、この主人公は顕著で、バドミントン以外は何もできないだけではなく、バドミントンに関しては他の選手を見下していたりする。
どうして才能だけのモンスターになってしまったか?は少しづつ描かれていくのだが――
ともかく、その才能は圧倒的であり、試合は常に綾乃の相手側が挑戦者である。大会中に突如挿入されるトッププロとの非公式試合でも勝ってしまう。ここまで強く描いてしまうと他の高校生選手に負けようがなく大会が盛り上がらないのでは?そんな不安も抱いたが、物語は更に意外な方向に進み始める。
綾乃のその脅威的な才能と性格の破綻ぷりを見せつけられ、また同時進行で真っ直ぐコーチとの絆を育むチームメイト・荒垣なぎさの成長が描かれた結果、都大会途中からなぎさに視点が移り、2人が戦う個人戦決勝は綾乃vsなぎさではなく、なぎさvs綾乃として描かれる。
実質的な主人公交代である。
『咲』など圧倒的に強い主人公に対し言われる"ラスボス"という冗談がこの漫画では実現する(とは言っても個人戦決勝で一区切りつき、以降はまた綾乃の物語が描かれる)
・試行錯誤を隠さない作者
この漫画の変化の象徴としてよく挙げられているのが、1巻と5巻の表紙(右上の画像)で、これは両方とも主人公・綾乃である。このように絵柄や作風の変化があり、良くも悪くも反響があったのはネットのレビュー等でも見て取れ、それらに対し作者も巻中のオマケ漫画で「迫力を求めて絵柄を変えた」「非公式試合が突然はさまれたのは先にやっておきたかったから」「5巻からは視点が変わる」など説明をしている。
誰もが感じてしまうほど、漫画外で説明しなければいけないほどの唐突な変化や強引な展開に戸惑いもある。だが羽咲綾乃の危うさに関しては初期から描写されていたし、物語の核自体は初期から見据えていたものなのだろう。そして作者も「全力で描けた」と言っているなぎさvs綾乃では、そこまでの試行錯誤が結実した感がある。可愛く描かれていた綾乃の顔が暗く歪むのは作風の変化があってこそだったし、2人の激しいぶつかり合いはスポーツ漫画以上のモノとして描ききれていたと思う。
・読者が求めていたものは
ギャグ漫画がバトル漫画になったり、長い連載の中でジャンルそのものが変わってしまう事も珍しくはない。ただ、濱田先生は可愛い女の子を描ける力があり、それを期待していて読んでた人も決して少なくはないと思うし、個人的にも初期の可愛い女の子路線が惜しくもある。
でも今の『はねバド!』にはそれ以上に魅力を感じている。「今一番熱いスポーツ漫画」と推す人もいるほどだ。
ジャンプを飛び出した濱田先生の挑戦は成功だったかを知りたくて読んだが、解ったのはまだ挑戦し続けているという事だけ。だから、これからも読み続けていきたいと思う。
皆様も、いかがだろうか。
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